山の太郎熊 (小学館文庫新撰クラシックス)のレビュー

意外に残酷
 椋鳩十の、動物をテーマとした童話を収めた短編集。
 「山の太郎熊」「金色の足跡」「大造爺さんと雁」「月の輪熊」「金色の川」「暗い土のなかでおこなわれたこと」「父とシジュウカラ」「母グマ子グマ」「片耳の大鹿」「底なし谷のカモシカ」「犬太郎物語」「いたずらサル」「犬塚」が集められている。
 ずいぶん久しぶりに椋鳩十作品を読んだのだが、意外に残酷というか、動物が酷い目にあう話が多いのに驚いた。また、著者がサンカ小説から出発していたというのもビックリ。言われてみれば、うなづけることだが・・・。
 とはいえ、結末はいずれもハッピーエンドで、お話そのものも多くは人間と動物の心温まる交流がテーマとなっている。納得はいかないが、読後、なんとなく幸せになれる本であった。